企業の経営状態も左右すると言われる新システム導入プロジェクトでは、サポート役となるベンダーとの緊密なコミュニケーションが成功の鍵を握ります。そこが疎かになると、システムの初期設定や導入後の運用がうまく進まず、プロジェクト自体が頓挫する可能性もあるからです。今回は、ベンダーコントロールにおける良好で円滑なコミュニケーションのポイントをご紹介します。
システム導入失敗の原因は、ほとんどがコミュニケーション不足
システム導入の現場では、ユーザー企業とIT・システム開発ベンダーの間で、互いの業務や業界への理解不足、要件定義の詰めの甘さなどにより、IT紛争に至るケースも見られます。こうしたトラブルの背景にあるのが、システム構築の初期段階におけるユーザー企業とベンダー間の情報共有不足です。
一般に、ユーザー企業側には、システムに関する専門知識を有した人材が少なく、自社のみで適切な要件定義を行うのは困難です。一方、ベンダーは、ユーザー企業の業務プロセスをはじめとする関連情報を十分に得られなければ、提示された要件定義の抜け漏れを防げなかったり、的確な提案ができなかったりする場合もあります。
以上のような実情からも、システム導入プロジェクトでは、互いの持つ情報を全て共有できていない可能性があることを前提に、双方が綿密なコミュニケーションによってトラブルの防止に努めることが重要です。また、こうした互いの協力体制が、プロジェクトの円滑化のみならず、ユーザー企業が思い描くシステムの実現を支える基盤となります。
今日からできる!ベンダーとのコミュニケーションを円滑にする3つのポイント
次に、ベンダーマネジメントにおけるコミュニケーションのポイントを、システム開発ベンダーの視点で3つご紹介します。
1.プロジェクトの軸となる導入後のビジョンを明確に描こう
プロジェクトを進めるうえで重要な役割を果たすのが、システム導入後のビジョンです。システム導入の目的を達成するためにも、発注側のユーザー企業は、理想とする業務プロセスなど、導入後のあるべき姿をあらかじめ定めておく必要があります。
ユーザー企業に明確なビジョンがない場合、IT・システム開発ベンダー側もどのようなサービスを提案すべきかの判断が困難となります。導入後のビジョンは事前に社内で十分に検討し、プロジェクトのキックオフミーティングなどで、ベンダーへの共有を図りましょう。
2.使用を検討している製品は事前に下調べしておこう
システム導入では、発注側にも事前の学習が必要です。多くの方が冷蔵庫などの家電を買い替える際に自身で下調べを行うのと同じように、システム導入でも情報収集が不可欠となります。
例えば同じシリーズの製品であっても、サーバーを用いるのか、クラウド化するのかによって構築方法や利用の概念・思想が異なる場合があります。ここで選択を誤ると、当初想定していた機能を搭載することが難しくなる事態も考えられるので注意が必要です。
システム構築を行うのはベンダーですが、実際に使用するのはあくまでユーザー企業です。そのため、プロジェクトの過程では、ベンダーから製品説明の場を設定するのが通常の流れとなります。もし説明を受ける機会が設けられていないのであれば、ベンダーマネジメントの観点からも、ユーザー企業側が要望し、説明の場を用意してもらうことが適切です。
3.社内調整で悩んだ時・判断に困った時には早めにベンダーへ連絡しよう
システム導入プロジェクトの進行中には、担当者が社内調整などに悩む場面も少なくありません。その時点で早めに相談を持ちかけることができれば、ベンダー側も解決策の提案やサポートの提供を行いやすくなります。
具体的には、プロジェクトに難色を示した社長に説明が必要となった場合や、内情に疎いプロジェクト関係者以外の方への伝え方が分からないといったケースが挙げられます。日頃から密なお付き合いができていると、そのような場面でも説明準備などでベンダーからのサポートをうまく引き出せるでしょう。
ベンダーとの円滑なコミュニケーションで、理想のシステム導入を実現!
システム導入プロジェクトでは、IT・システム開発ベンダーとの緊密なコミュニケーションが社内認識のすり合わせにも寄与し、プロジェクトの円滑化のみならず、システムのクオリティにも良い影響を与えます。
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