システム構築では、ベンダーに見積を依頼する前に、依頼者側でシステム要求を整理するステップがあります。システム構築を円滑に進め、成功へと導くには、システムに対する自社の要望を把握することが欠かせません。今回は、システム要求を考えるときのポイントをご紹介します。
システム要求とは何か?
システム構築における要求とは、ユーザー側の希望のことです。新しいシステムで実現したいことや、どのようなシステムを作りたいかなどが該当します。具体的には、「上長の承認がないと、割引した見積の作成ができない仕様にしたい」「システムにおいて操作可能な権限を役職に応じて変更したい」といった事項です。
システム構築とよく似ているのが、住まいづくりと言われています。「広いキッチンが欲しい」「バーベキューのできる庭が欲しい」など、住む方がどのような暮らしを望むのかが、システム要求に相当する部分です。
住宅会社は、住む方の希望を踏まえ、住まいの実現に必要な機能を取り入れた設計図を描いていきます。システム構築も同様です。システム構築を請け負うベンダーは、ユーザー側の要求を軸に、実装する機能や設計図を作成します。
システムに対する自社の希望は、システム要求の段階で伝えておくことが原則です。伝え漏れがあると、より良いシステム構築のための助言をベンダーから得られなかったり、重要な機能の不足が後から判明したりなどの不利益を被る可能性もあります。
システム構築の成功に資するシステム要求を考えるコツ
システム構築を成功させるには、まずシステムへの自社の要望を把握することが不可欠です。システム要求の整理段階では、具体的に何を考え、行えばよいのでしょうか。
新システムで行いたいことを漏れなく書き出す
システム要求の整理段階では、自社の要望を漏れなくリストアップしておきましょう。
システム構築の流れとして、システム要求を行った後は、システム構築に必須の仕様を明文化する要件定義が行われます。その際にベンダー側から入るのが、導入したい機能に漏れがないかの確認です。もしこの時点で依頼者側が漏れを見落すと、ベンダー側はシステムへの導入を検討すべき機能について知る機会が失われます。
「導入したい機能は何か」という問いへの答えを持つのは、システム構築の依頼者と現場の業務を知る方のみです。
システム要求と要件定義の確認でシステム構築に要する機能を特定できなければ、業務の遂行に必要な機能の不足が後々発覚することになるでしょう。その結果、プロジェクトの遅延や追加発注等にかかるコストが発生します。そのためにも整理段階での念入りな要望の洗い出しが必要です。
システム要求のアイデアは能否が不明でもよい
システム要求の時点では、新しいシステムに対する要望が実現可能か、不可能かまで問う必要はありません。実現の能否は、後に行われるベンダー側の調査や要件定義の段階で精査されますので、システム要求ではアイデアを出すことに主眼を置きましょう。
たとえアイデアのレベルであったとしても、依頼者側から要求のアウトプットが行われることでベンダー側もより良い提案を出しやすくなり、結果としてシステム構築の成功に繋がります。
使用予定のデータベースやログイン認証への要望も出そう
可能であれば、データベースとなる使用予定のサーバーや、セキュリティに関わるログイン認証についての要望も出しておくことをおすすめします。
使用するサーバーの種類によってデータを取得する際の接続方法が違うため、その後のシステム構築の方法が全く異なるからです。また、ログイン認証によくあるケースとして、ログイン用のセキュリティをサードパーティー製品で入れている場合、セキュリティの設定によってはデータ取得の制限がかかります。見積はそれを加味した内容となることを念頭に置いておきましょう。
システム要求は漏れのない自由な発案が鍵
システム要求では、漏れなく、かつ自由な発想でアイデアを出すことが大切です。それによってベンダー側もより良いシステム構築に役立つ提案を出しやすくなり、依頼者側にとっても後々のリスクを減らせます。
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